感性、個性を大事に
 私が小学生のとき、弱度の知的障害をもったクラスメイトがいました。算数とか国語はほとんど0点に近いのですが、図画はよくコンクールで入賞していました。私は彼の絵を少しも上手だとは思いませんでした。どこが良いのだろう。何が上手なのだろう、不思議でした。

 空は薄い青色、山は緑色、海は青色、チューリップは赤色。私がスケッチするときはいつも同じパターンでした。ところがその彼は空がオレンジ色だったり、山は茶色だったりです。人の顔には鼻や口がないこともありました。「○○君は感じたままを正直に描いただけよ」と担任の先生は言ってました。

 お子さんがお父さんの顔を描いています。髪の色が灰色、肌の色を赤く、唇を青色で描いています。するとお母さんが「○○ちゃん、パパには白髪はないのよ、髪の色は黒色でしょう、それにお肌は肌色に唇は赤色なのよ」と横から口出しする。お子さんは自分が思った通りに描いているのに、母親がウソを描けと言ってる。これが結構多い。という内容の記事を約35年前の甥っ子の育児読本「ひかりのくに」で読んだことがありました。

 

 高校生であった私にも面白い内容でした。ですから娘達に楽器を教えるとき、これを参考にしました。つまり私の固定概念を子たちに押し付けないようにしました。ある程度まで教えて、そのあとは子たちが自分でやるのを待ちました。予想通りに自分達がやりたい曲、やりたい弾き方で演奏しました。

おしゃれ この頃は人がすることなすこと全てに興味を示し、マネをします。
四女の美砂です。

 私はそれを聞いてアドバイスするだけにしたのです。やはり結果はGoodでした。ラジオしかなかった時代に育った親よりも子たちのほうが音感、リズム感など勝っているはずだと思ったからです。

 しかし私達の周りには教え魔、お節介やきがけっこう多いのです。これはホントに有り難迷惑なことです。頼みもしないのにアドバイスをする。本人は良かれと思ってのことでしょうけど、教わる子たちは迷惑なのです。それをやると子たちは自分で考え、やろうとする意欲がなくなるのです。何もかも与えてしまうと子供の創造力さえも奪ってしまうのです。スポーツの世界でも同じ事と思います。

 


家事を教える
 家内は4人兄弟の長女です。自営業の義父母は朝早くから夜遅くまで働いていたと聞いています。3人のお姉ちゃんである家内は弟妹達の子守りから夕飯の支度まで、母親の代わりをしてさぞや大変だったろう。炊事、洗濯も小さい頃からやっているからさぞや上手だろうと思っていましたが...。

 残念なことに、義母が仕事の合間にすべてやっていたようです。「何故いらぬことを」と正直なところ思いました。結婚して間もない頃でした。「家内の料理が上手であれば」結婚して26年、家内に対しての唯一の私の不満です。

 ですから我が家では小さい頃から家事の手伝いをさせました。家内にも決して自分だけでしないよう言いました。風呂、トイレ掃除、食器洗い、洗濯等々。家内がひとつづつ教えます。風呂の場合は残り湯を洗濯機までバケツで運び、それから浴槽を洗って、お湯を入れます。あとの一人は洗濯機に汚れ物を仕分けしてから洗剤を入れスイッチを入れます。

 このようにちゃんと教えてやれば小さい子でも出来るのです。教え方によっては面白い遊びなのです。お母さんごっこなのです。男の子だって同じです。家庭を持ったら或いはひとり暮らしをすれば必ず必要なことですから。学校では教えません。

 そこで4人に、毎日のお手伝いの分担を決めました。但し、一週間のローテーションです。風呂、食器洗い、洗濯、それに私の身の回りの世話です。私の世話は新聞、灰皿、テレビのチャンネル替え(古かったのでまだリモコンがなかった)、肩揉み、そして日本酒の燗付けが主な仕事です。ですから来客がある時の私の当番は大忙しです。この当番制は現在も続いています。ですから今の家内は結構楽をしています。しかも料理は子供が作ったのがうまいし。

 友人はみんな感心しますが、こども達にとっては小さい頃からやっていることですから当たり前のことなのです。特別なことをしているのではないのです。逆に何のお手伝いもしない友だちが不思議なのです。良いことを習慣付けると後で楽が出来ます。

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マイクの奪い合いです。4人の性格がそれぞれ出ていて、面白い写真です。親にしかわかりませけど。


お小遣いとボーナス
 こども達に毎月の小遣いをやるようになったのは美砂の小学校入学からでした。美雅が1000円、由美と絵美が900円、そして美砂が700円です。毎年100円づつのアップにしました。4人合わせても5千円以下でした。しかし中学生になると「○○ちゃんの小遣いはね5000円よ」とか「△△ちゃんは1万円貰っている」とか言い出しました。

 そこで我が家の経済状態を話して聞かせました。仕事上の借金が○○円、住宅ローンが毎月○○円、車のローンが○○円、1ヶ月の生活費が○○円等々、なるべく詳しく教えました。しかしこども達は三桁以上の金額は理解で来ませんので、ピアノが10台、あるいは100台買える金額とかに例えて教えました。

 すると長女が「お小遣いは要らない」と言い出しました。子も顔を見合わせて「私も要らない」「うちも」と。末っ子は「なぜ?」て顔をしてましたけど。そこで「心配するな!今まで通り小遣いは上げるから、友だちよりも少ないけどな」と納得させました。

 毎日のおやつは家内が必ず用意していました。ですから小遣いを貰っても使うことがないのです。子たちがお菓子を買うのを禁止していましたので、可愛い消しゴムとか、鉛筆とかボールペンなどを買うぐらいです。これが間違いでした。長女が足し算をうまくできなかったのはこれが原因だと思いました。

 そこで「1000円づつ臨時ボーナスを上げるからスーパーで欲しいものを買いなさい。だけど全部使うように」と4人をスーパー・マーケットに連れて行きました。買い物しながら計算の練習です。もう子たちは大喜びです。チョコレート、ガム、ラムネ菓子、ラーメン菓子に私が知らないお菓子など。4人ともニコニコしながら買い物カゴに入れていますが、せいぜい4〜500円どまりです。普段こんなに買ったことがないので当たり前でしたけど。
 
 これを機に駄菓子屋、スーパーでの買い物OK、お菓子もOKとしたのは言う迄もありませんが、それ以来ボーナスをせがむようになりました。また小遣いも美砂の高校卒業で終わりました。こんどは私たちが貰う番です。


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