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 9月28日(火)
 ブラウンちゃんの指事通りバンジョーのセットアップをしに行った。彼女が「難しいバンジョーの曲を弾くよりも、ミカのバンジョーを弾くのがもっと難しい」と言って、「この近くにセットアップしてくれる人がいるから」と紹介してくれた。すぐ近くが、な、なんと1時間もかかった。アメリカではちょっとが1時間なのだ。もちろん車で...。

 ビル・モンローの壊れたマンドリンも修理したというメガネをかけたおじさんが4時間もかけて調整してくれた。美雅ネエちゃんが試しに弾くと回りの人達が集まってきてジャムが始まった。だけど皆さん好きですねェ。

 その調整が済むまで時間がかかるというので、近くの中華料理店で昼食を取ることにした。「やっぱ、ここはアメリカ!」と思わせるような、うどんみたいなタンメンを食べた。味が薄かったので醤油の匂いがするソースをたっぷりかけると、一瞬のうちに私はゴジラに変わってしまった。そのくらい辛かったのだ!岩藤のおじちゃんがカタコトの中国語を喋れると知ったのはこの後だった。

 口直しのため夜はナッシュビル・ダウンタウンの『一番』という日本料理店に行った。ピーター・ローワン、ブラウンちゃん、ゲイリー(bs、彼女のボーイフレンド)、キャラちゃん(彼の子供)、秋元慎夫妻(新婚旅行中)四方さん、それに三郎さんと私達7人の総勢15名のニギヤカなディナーだ。

日本料理店「一番」

 ここで、私達の父親代わりを紹介しますと、父の学生時代の後輩である村中のおじちゃんと岩藤のおじちゃんの二人です。私達に18日間も同行して、荷物運びとビデオとカメラの撮影をしてくれました。私達は二人に感謝しております。だけど、会社に戻れるかナァ?ちょっと心配です。

 父は28時間のビデオテープと400枚の写真があるから「まるでアメリカへ一緒に行ったみたいだ」と言っております。

 話を元に戻しましょう。この二人は、お酒が好きで強い。(父の友人は皆そうだけど)さて、こともあろうに岩藤のおじちゃんは、なな〜んと!ピーター・ローワンにお酌してもらって飲んでいるでは有馬温泉(ゴローさんのマネ)。私も飲みたかったなぁ!ピーターにお酌してもらって。

 満腹になったところで、今晩演奏する事になっている「ステーション・イン」に行こうということになった。美雅ネェちゃんと私はピーターの赤い車に乗せてもらった。日本酒でハイなピーターが、「今流れている曲は私とビル・ミラーがやったのを、日本で流したものだョ」と助手席の美雅ネェに言うと、何を血迷ったのか「ああ、グレン・ミラーね」とぬかしたのだ!一緒にいた私は恥ずかしくてたまらなかった。あ〜あ!

 ステーション・インではロニー・マッカリーとあのラリー・パーキンスがいる『ザ・サイドメン』の演奏中だった。先日ロニーと約束していた通り、彼らのステージの持ち時間の半分を私達とチェコからきたバンドに分けてくれた。ピーターとは、また“Cindy”をやった。

 ステージを終えると、マイク・バブがすぐさまマイクを握り、彼の日本語の十八番「すばらしい」の連発だった。いつも面白くてニコニコのマイクだ。

 チェコのバンド、セカンド・グラスはオリジナル曲が多くてニューグラス・スタイルで上手だった。隣にいるおばさんが「英語はあなた達が上手ョ」と言っていたけど、それまで私はてっきりチェコの言葉で歌っていると思っていた。


チェコのバンド
 前回演奏した時はお客さんも少なかったのだが、なぜかこの日は満員で立っている人もいた。私達がライブしている博多のチャック・ワゴンと同じ状態だった。もちろん店の広さは違うけど。先日ローランド・ホワイトがナッシュビル・ブルーグラス・バンドでライブした時に、今日の私達のライブのことを前宣伝していたらしい。納得!!

9月29日(水)
 この日は演奏予定がなかったのでモール回りをして遊びまくり、昼から5時間かけてノース・キャロライナへと向かった。ブルーグラスの歌詞によく出てくるスモーキー・マウンテンを眺めながらのドライブは最高だった。あまりの綺麗さに車を降りたのだが、ウッヒョー!!ブリ寒い。次の瞬間、私は自分の目を疑った。このバリ寒いのに、なな〜んと半袖の人がいるのだ。ジャンパーを着ている私達をあざ笑うかのように、今から山に登るという。きっと頭か身体の構造が私達と違うのだろうか!?

 しばらくすると、遥か向こうで白い煙が舞い上がっている。初めて見る山火事だ!これがホントの「Fire On The Mountain!」だった。

 『チェロキー・インディアン村』ではインディアンの子孫が西部劇でしか見たことがない“吹き矢”を実際に吹いて見せたり、織機を使って織物の実演をしてくれたり、まるで修学旅行の気分だった。

 「ステーキでも食べへん」と三郎さん。待ってましたと全員が大賛成。毎日一食は必ず自分達が作ったサンドイッチ(初めの頃は美味しかったが)を食べていたから「さすが三郎さんは気が利くなァ」と思った。分厚いステーキの横には、いま畑から引き抜いて茹でたような大きなポテト。日本と違って何もかも大きく、一人では食べきれないので私達四姉妹はいつものように回し食べをした。こうすると一人で数種類のものを味わえるのだ。ホント、久し振りにお腹いっぱい食べた。あ〜シアワセ!!

 街をブラついてると、ユニークな写真館を見つけた。好きな衣装を選んで開拓時代のセピア色の写真になるやつ。男性はテンガロン・ハットに銃とボトルを持ち、女性は艶やかなドレスだ。岩藤のおじちゃんは銀行強盗でもしでかすかのような顔つきをしてたもんだからバッチリキマっている。三郎さんは殺し屋みたいに見える。私達は可愛いレディだ。この写真は将来お見合い写真に使えるかもネ?

 ここはグレイト・スモーキー国立公園の入り口にあるギャトリンバーグという観光地。小人が住んでいそうな小さな雑貨店やメリー・ポピンズが踊っていそうな、まるでお伽の国みたいな『ミッドタウン』というモーテルにその日は泊まった。



写真上は日本料理店『一番』でピーター・ローワンに酌する絵美。下はステーション・インで演奏するチェコのバンド「セカンド・グラス」

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