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9月25日(土)
 朝早くから浴衣(夏休みに自分達で作った)を着て、私達が夢にまで見たあのIBMAファン・フェスのメイン・ステージへ。しかし...雨。しかもステージ開始トップの正午が出番だ。天候も悪く、観客も少ない。おまけに双子(由美と絵美)は風邪をひいて喉を痛めているし、最悪のオンパレードだった。(もちろん、そのメイン・ステージに出られる事だけでも凄いって事は分かっているけど...)

 しかし、7年前の私達の初ステージ(87年の太宰府フェス)の時も同じコンディションだった。ドシャブリで雷が鳴り、主催者が中止にしようというのを父が制して私達が演奏し始めると嘘みたいに晴れ上がり、最高に盛り上がったのを思い出した。

 ステージで司会者が三郎さんと日本のブルーグラス事情について話しをしているようだがその時間の長いこと。始めの曲“Train45”のキック・オフは私のバンジョーからなんだけど緊張しながらの待つ身のつらさ。「早く済ませてヨ。三郎さん!」と思っていると、「Mr.Wanatabe...,Not Wanatabe,I'm Watanabe」と二人の会話が聞こえてきた。司会者が何度も“わなたべ”と呼ぶので、その度に“わたなべ”と言い返す三郎さん。おかしくて笑いを堪えるのに必死だった。 

浴衣を着たNFB

 二人のやりとりのお陰で、先までの緊張の解けて弾き始めると雨も小振りになり、観客もどんどん集まってきた。「ショーダウン」でやったのとほぼ同じ曲を演奏したが“春の海”、“さくら”、“ケンタッキー”等の他に“What a friend we have in Jesus”を日本語で歌った時は予想したとうり拍手が多かった。ワン・ステージに1曲は必ずゴスペル・ソングを...。と以前に聞いたことがあったのを思い出した。

 ここで私達は一つの事を学んだ。それは観客みんなが“聴くプロ”だということである。コピーしただけの曲を演奏しても反応はないが、クリエイティブなアレンジをやった曲はすごい歓声と拍手が沸き起こるのだった。少なからずピッキングのミスはあったけども、私はこの体験が次へのステップになると思った。

 小さい頃から父にひっぱたかれ、物が飛び、(...まだいっぱいあるが)それでも涙を浮かべながら頑張ってきた辛い日々を忘れさせるのに十分なステージだった。
 
 演奏を終えてステージを降りると、カメラを持った沢山の人達が待っていた。「どうしたとかいなァ」、「ビル・モンローがおるとかいなァ」と思っていると、なんと!!私達にカメラが向いている。場所をかえては作り笑いとポーズの連続でこの時だけはスター気分だった。浴衣がよっぽど珍しかったのだろう。マイク・コンプトンの彼女もカメラマンの中にいたみたいだったけど。

 このあとカーネルおじさんに似た人から「ステージの出演者に手作りのクッキーを差し入れしているんだ」と言ってメロンパンのようなバリ大きいクッキーをもらった。これが最高に美味しかった。「もう1回、演奏しようヨ」と美砂のしつこかったこと。

夕方には『YOUTH STAGE』で演奏した。子供達のためのステージである。IBMAは次の世代でもブルーグラスを親しめるように企画しているのだろう。この中から第2のアリソン・クラウスやトニー・ファタードのような凄いプレイヤーがでるのだろうが...。

 そういえば宝塚フェスでもお父さんやお母さん達が子供達と歌ったり踊ったりして楽しんでるのを思い出した。
 
 ところが私達のステージの時は子供ばかりと思っていたら、大人やお年寄りが殆ど。そこで曲の合間に浴衣の“着付け教室”を開いた。だがアメリカの女性はとてつもなく大きいのだ。肩幅や腰回りなんか私の2〜3倍はある。美砂の浴衣を使っていたので破けるのではないかとヒヤヒヤだった。

おもしろ楽器

 オハイオ河をクルージングしながらブルーグラスの演奏を楽しむという『Midnight River Cruise』が夜の11時から。メイン・ステージではロンサム・リバーバンドが始まったばかりなのだが後ろ髪を引かれながらステージ裏の船付場から船に乗り込んだ。

 日本では考えられない。ジョン・ハートフォードの生の声、それにいつものステップを踏みながら船のキャビンでの演奏なんだ。ワァオー!!それにまたまたデビット・グリアーとマイク・コンプトンの演奏を聴いた。いやあ!いつ聴いてもすごかぁー!!

 そのようなホットな演奏を聴きながら見るオハイオ河は昼とはまたひと味違ったきれいな夜景だった。思わず“Banks of the Ohio”を口ずさんでしまったが、この曲は恋人にフラれたので殺してしまうという恐ろしい曲だったのに...?

 クルージング船の最上階がやたら騒がしい。「えらい騒がしかね!」と階段を上がっていくと、酔っ払いが暴れている。
 何処かで見た顔だなァ...?そうそう『ステーション・イン』でも酔っ払っていた人だ。後で思い出したけど ’89カントリー・ゴールドにやって来た時のブルーグラス・ボーイズのベースマンだ。あの時はジャムでバンジョーなんか弾いてカッコいいと思ったけど...。幻滅!!


上の写真はIBMAファン・フェスのメイン・ステージ、下の写真は面白い楽器をたくさん陳列してある建物がオープリランドにあった。

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